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和文化教育学会での研究発表

和文化教育学会とは、和文化の教育的アプローチを実践、普及を目指している学会です。教育現場に携わる先生方が多く参加され、和文化の継承に大きく寄与なさっている大変有意義な活動を展開なさっています。

その中で、当協会の研究テーマの一つである「双六の教育的アプローチ」の成果について、毎年のように発表する機会をお与え頂いております。

ありがたい感じていると同時に、とても緊張しながら臨んでいます。

古典を双六にしてみようと試み、好評を得て作り続けてきました。まだまだ、これからも作り続けるでしょう。

私どもの活動は、常にオリジナル双六を作成し実践することに終始していましたので、双六そのものを学術的に捉えることについては、不案内でした。

和文化教育学会における研究発表は、その機会を与えてくださったと感謝しています。

学会には敷居の高いものから、ウェルカムなものまで様々ですが、海のものとも山のものともつかなかった私どもを受け入れ、チャンスをくださいました。

さて、その学会で私に興味の入り口を見せてくれた、双六の学術的な側面と、それらとの出会いについて、少々お話いたします。

江戸時代、木版画の技術が発展し、浮世絵と共に双六も庶民の安価な娯楽として広まっていきました。平和な時代でもあり、大人がお遊びに興じることができた時代だったのです。大人の中で、ブームが作られてゆきました。

名だたる絵師が技とアイディアを凝らし、腕を競って描き上げた双六の数々、今見ても美しく、また楽しく、驚きの連続です。

知れば知るほど、魅せられてしまいます。

本物を観てみたいとお訪ねたのが、日本屈指の双六コレクターであり研究者でもいらっしゃる山本正勝先生でした。

ひとつの博物館でも、これだけのコレクションは持たないのではないか。

山本先生のコレクションは、素晴らしいの一言でした。四畳半ほどもある双六や盤双六もあり、研究者も山本先生を頼って来られます。ニューヨークのメトロポリタン美術館にも貸し出したことがおありだそうです。

貴重な双六の中で、名も知られない絵師が作成した双六もたくさんお持ちでした。特に興味深く拝見した双六は、墨色一色の双六ででした。細かく描き込まれた一枚はA2ほどの大きさ、飯炊き窯のシルエットの中に、地獄から極楽までの道のりが描かれていました。

ユーモアがあって面白い。ふと古典落語の「地獄八景亡者戯」を、思い出していました。見飽きることがありません。

多くの絵師たちが切磋琢磨しながら絵双六に挑戦していたのです。

お伺いした折、ずかしながら当会作成のオリジナル双六をお手渡しいたしました。そして、新しい双六の制作という創意工夫の心意気、これこそ私たちが受け継ぐものだと強く感じました。

先生がお見せくださった数々の素晴らしい絵双六から、マス絵に入り込んだ視覚的情報量の多さ、物の流れを分かりやすくする表的役割、全体を一枚で見わたすことができる俯瞰性といった、双六の優位性を改めて確認させていただくに至りました。

その後、印刷技術の進歩とともに、印刷物は安価で大量に制作できることとなり、明治維新以降、子供たちの教育現場でも使われるようになりました。目の付け所は、同じなのですね。

これらの双六の優位性を生かした、今の時代にマッチした双六作り、和文化教育にアプローチしたいという目標が、私どもにはございます。

常に新しい双六を模索しながら発表させていただいております。

 

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